ギシリ


重心をかけてついた手に、ベッドが音を立てた。

目をつむっていた哨のまぶたが持ち上がり、目の前に置かれた手にその目を見開く。

驚きの色を浮かべた目は、そのままベッドの上に乗り上げたハロスを捉えた。

「な、に・・・」

「なんであの時、俺に言わなかったの?」

「・・・・何を」

「画鋲が靴の中にあるってこと」

「・・・・・・・・・」

哨が黙り込む。黒い瞳がわずかに揺れたのを、ハロスは見逃さなかった。