私は傘をぎゅっと握る。
変なの、今朝だって隼に会ってるのに緊張なんてして。
今日の夜ご飯は、隼の好きなもの沢山作るんだ。
2人で買い物に行って、ご飯食べて、ゲームするの。
何を特別なことはない。だけどそれが一番幸せなの。
「あ……」
呆れるほどすぐに見つけてしまう。
綺麗なスーツに見を包む隼。
傘がなくて困っているみたい。
私は早足に隼に近寄る。
「隼」
「え、優衣?」
驚いている。
「はい。」
私は傘を渡す。
「ありがとう…」
隼はまだ驚きが隠せないみたい。
「優衣、会社は?」
「今日お休みなの。驚かせたくて。」
私はそう言って来る途中に買ってきた花束を隼に向ける。
「卒業おめでとう」
6年間、お疲れ様。
「ありがとう」
隼は驚いていたけど、すぐに笑顔になってそう言って花束を受け取ってくれた。
「優衣、こっちおいで。濡れちゃうよ」
私は隼の言葉に頷き、傘をしまうと屋根のついているところにいる隼のそばに行く。
「少し学校の中はいってようか。雨が収まるまで」
「うん」
隼の学校にはいるのは初めてだ。
学校の外とかなら来たことは沢山あるけど、いざ建物の中に入ると少し緊張する。
隼はここで、6年間過ごしたんだ。

