何度も味わったこの感覚

闇に落ちるように

未来に戻って行く







「ここ病院よ わかる?」

優しそうな看護師の女性が微笑む



「は…ぃ」



「名前、言えるかな?」





言いたくなかった

言えば… 


あの家に戻らなければならない




いやだ




いやだ







涙が溢れた



「どうしたの?痛む?」




もう… ここに戻りたくない




新選組がいい







重い体を動かして


ボトンッ


ベッドから抜け出るが、立てなくて
落ちてしまう


手摺りを伝い、階段へ




ごめんなさい…



これで、新選組に帰れるなら


目を閉じ、手摺りから手を離した