このひとだけを見ていよう。周囲がどんなに好奇や嘲笑の目を向けてこようとも。
このひとだけをーーー
クラウスの双眸が、じっと自分を見つめている。
そんなに見つめないで、と願う。
すべてを見透かされてしまいそうだから。
ーーーどうして今の今まで気がつかなかったんだろう。
クラウスの存在そのものに圧倒されて、意識することがなかった。
炎とそれが生み出す闇が交錯しているような赤黒複色の髪に、黒曜石の瞳。
よく研いだナイフで切り出したような、端正な輪郭。
このひとは、なんてうつくしいのかしらーーー
このひとだけをーーー
クラウスの双眸が、じっと自分を見つめている。
そんなに見つめないで、と願う。
すべてを見透かされてしまいそうだから。
ーーーどうして今の今まで気がつかなかったんだろう。
クラウスの存在そのものに圧倒されて、意識することがなかった。
炎とそれが生み出す闇が交錯しているような赤黒複色の髪に、黒曜石の瞳。
よく研いだナイフで切り出したような、端正な輪郭。
このひとは、なんてうつくしいのかしらーーー



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)