このひとだけを見ていよう。周囲がどんなに好奇や嘲笑の目を向けてこようとも。
このひとだけをーーー

クラウスの双眸が、じっと自分を見つめている。

そんなに見つめないで、と願う。
すべてを見透かされてしまいそうだから。

ーーーどうして今の今まで気がつかなかったんだろう。
クラウスの存在そのものに圧倒されて、意識することがなかった。

炎とそれが生み出す闇が交錯しているような赤黒複色の髪に、黒曜石の瞳。
よく研いだナイフで切り出したような、端正な輪郭。


このひとは、なんてうつくしいのかしらーーー