冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

それから毎日、合間をみつけてはクラウスがダンスの相手をしてくれるようになった。

少しはダンスの腕も上達したころ、仕上がったドレスが届けられた。

そしてカースル卿の邸で開かれる舞踏会にクラウスと出席することが、正式に決まった。

ドレスの素晴らしさは、言うまでもなかった。

黒に近い深い碧のロングドレスで、袖はひじまで腕にぴったりとして、そこから蜘蛛の巣のように繊細なレースが重ねられて広がっている。
よくよく見ると、微妙に色合いの異なる、アイボリーと白のレースが重ねられているという凝りようだった。
同じレースが襟にもあしらわれている。

うっかり爪でも引っかけてしまってはと、フロイラは案じずにはいられなかった。