冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

翌日改めて、お針子たちによる入念な採寸が行われた。

白と黒の縦ストライプ地のドレスに、髪には細い黒いリボンを巻いただけのシンプルな装いで大きな姿見の前に立つフロイラを眺めながら、クラウスが仕立て屋と打ち合わせをしている。

「生地と仕立てはむろん最上級で。俺はごてごてした装飾は好みじゃない」

「かしこまりました。なるべくシンプルなデザインのほうが、ご令嬢の楚々とした美しさが引き立つかと存じます」
小柄な仕立て屋が同意する。

「ーーー肌はなるべく見せずに、襟は詰めて袖は長めに」

クラウスの言葉に、おや、と思う。
これまで彼から与えられた衣装はどれも、襟ぐりは大きめにとられ袖は短いデザインのものばかりだった。てっきりそのデザインが彼の好みかと思いきや。

イブニングドレスとなれば、貴婦人たちはここぞとばかりにそのなめらかな首すじや、すんなりした腕を見せるものだ。
だがクラウスにその気はないようだ。