「お年の頃からいえば、もう他家に嫁がれているかもしれませんが。
ルーシャ・・ルシアナ様のお側に仕えたいと・・・」

このひとのために生きたいと、フロイラが心に決めた相手は、男性ではなかった。

「それがお前の生きる望みか」
クラウスの声が険しい響きを帯びる。

はい、とうなずく。嘘はつけない。

「ーーークラウス様から受けた恩義を忘れているわけではありませんが、」

当然だ、とクラウス。
「いるのかどうかも分からない女より、俺のことを考えろ」

はい、と答えるよりほかなかった。