「ああ、そうしてくれ」

少し迷って、二つのカップに茶を注いだ。

クラウスがソファにかけると、茶を一口すする。
「ーーーリュカに少し習ったほうがいい」

「はぃ・・・」
肩をすぼめて返事をする。

「お前も飲んだらどうだ。冷めるぞ」

はす向かいのソファにかけて、茶を口にする。緊張で味など分からない。

「あの、クラウス様」
思い切ってくちびるを解く。

「なんだ」
意外そうにこちらに目を向ける。

「つかぬことをお尋ねしたくて・・その、所領地は湖畔地方にもございますか?」

ない、と一拍おいてクラウスは断じた。疑問をさし挟む余地のない口調だ。

「そうですか・・」
カップを両手で包んでしょぼんとする。

「なぜそんなことを訊く?」
逆にクラウスが聞いてくる。