冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

ぬいぐるみのような二匹———
だが、それもつかの間のこと。じきに、特にミジビルのほうは、角も生えて力が強くなり、花壇の花など根ごと引き抜くほどになるだろう。

そうなったら、柵で囲った放牧地なりを作って、その中に放すことになる。

しかし、二匹だけか・・・
つらつらと思考をさまよわせていると、フロイラがつぶやいた。

「あんなに可愛いのだから、お別れしないといけないときは、それはそれは胸ふさがれるでしょうね」

「別れ?」と思わず訊き返す。

ええ、とフロイラは寂しそうに、それでもうなずく。

「羊やヤギは、愛玩動物ではありませんもの。今はまだ仔どもだけど、大きくなったら、駆け回ってたっぷり草が食べられる広い場所がないと」

「———よく知っているな」
酪農には縁のない、貴族の娘であるのに。

「わたしだって勉強します。あの仔たちのことを知りたくて」
そう言うフロイラは、ちょっぴり得意そうだ。

だから、と言葉を続ける。
「こちらのエゴで、あの仔たちをここへ縛りつけてはいけないと思うんです。羊は群れで暮らす生き物だから、二匹だけだとやっぱり可哀想だし・・・
ミジビルとフィオナの幸せを、本当に考えると」

ふさわしい場所は、ここではない———