冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

もともと羊とヤギは相性が良い。従順な羊の群れにヤギを入れると、まとめ役になってくれるというわけだ。
その結果、仔ができるとは想定外だっただろうが。

「その羊の名前はおまえが付けてやれ」

「まぁ、いいのですか」
目を丸くしつつも、やはり嬉しそうだ。

熟考のち、フロイラは仔羊をフィオナと名付けた。ふわふわの毛をもつ仔のために、やわらかな語感の名をとあれこれ考えて。


ミジビルとフィオナを裏庭に放してやる。
トコトコとかけるフィオナと、跳ねるような足どりのミジビル。おとなしいフィオナが活発なミジビルに付いてゆくので、二匹の相性は理想的といえた。

たわむれる二匹の様子を、フロイラと眺める。
自然のおもむきを残す庭と、そこで遊ぶ小動物。童話の一場面のような光景だ。

いとけない存在を、ただ、愛おしいと感じる。そして、そんな自分の心のありようを好もしく思っている。

ずいぶんと変わったものだ。変えてくれたのは、自分の隣によりそう一人の女性に他ならない。
本人は、そんなことはつゆ知らず、二匹を目で追っている。