冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~



「———動物園でも作るおつもりですか?」

「だったら最初にお前を檻に入れてやる。なんでも外国にはメガネザルとかいう、眼鏡をかけた猿がいるらしいぞ」

今日の返答はいつにも増して塩分濃度が高い、とリュカは冷静に測る。
それだけ痛いところを突かれているという証左でもあるわけだが。

クラウスが厩舎に、さらに新入りを迎え入れたのだ。

領地の農場に求めたもので、「おとなしい牝(メス)の仔羊を一匹」だった。
珍しくもないので即座に届けられ、ヴィンターハルター邸の厩舎に入れられている。

ミジビルがやって来てからというもの、フロイラの関心がそちらに向きがちなのが気に食わないのだろうと、いつもながら難なく察しをつける。
そのための “相棒” というわけだ。


「クラウス様! ご覧ください、もうすっかり仲良くなっています」
フロイラが可愛くてしょうがないといった様子で、仕切りの中を指さす。

白い毛玉のような仔羊と、ぶち模様のミジビルがくっついて寝ワラの上に座っている。心和むながめだった。