冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

「この仔は、ヤギの性質を強く受け継いでいるのかもしれません」

庭を歩くクラウスとフロイラのまわりを、ぴょんぴょんと飛び跳ねるミジビルを見て、フロイラが口にする。

「牡(オス)だからかもしれないが、活発なやつだな」

トン、トン、とミジビルがフロイラにひたいをこすりつける。

「そろそろ、角が生えてくるのかもしれないな」
ひたいがむず痒くなるものらしい。

しかし———

フロー、と名を呼ぶ。

はい、と言いかけたフロイラの口は、すぐにクラウスにふさがれる。

「ん・・」
すこし驚きながらも、彼からの口づけを素直に受け入れる。

どうして・・、とそれでもクラウスの腕の中で問うてみる。

「こいつに見せつけたくなった」

「クラウス様、ミジビルは動物です」
人ですらない。

「動物だろうと仔どもだろうと、男は男だ」
大真面目に返ってくる。

クラウスの言葉を理解したわけではないだろうが、ミジビルがフロイラに身体をすり寄せる。