冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

「まぁ、本当にきれい! チーズは雪のように真っ白だし、ラズベリーの実は赤くて。クラウス様、どれくらい召し上がりますか?」

それでもフロイラの喜びようを目にすると、その甲斐はあると思えた。

「あぁダメよ、もとはミルクだけど、これはあなたの食べるものじゃないの」
テーブルに鼻面を伸ばそうとするミジビルに、フロイラが声をかける。

ミジビルはすぐに興味を失ったようで、芝生を齧りはじめた。

「芝生もあんまり食べられると困るのだけど。丹精こめた花壇を荒らされたりしたら、園丁泣かせだわ」

「こいつのために、放牧地か・・・」

今は可愛らしいだけだが、成長すれば草地が、ヤギの性質を濃くしめすなら運動できるような場所も必要だ。
広い敷地とはいえ、邸は農場ではない。

先のことを考えなければいけないが、それをフロイラに告げるのはためらわれた。