冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

水玉模様のドレスを着てお茶を入れるフロイラと、ちょこまかとそばにまとわりつくぶちのミジビルを見て「———兄弟みたいだな」とクラウスがつぶやく。

「こんなに懐いてくれると思わなかったから、世話のしがいがあります」

天真爛漫な性質で、邸の使用人たちにもかわいがられ、もはや連れてこられたころの面影はない。
なにかをねだるように、グリグリとフロイラのスカートに顔を押しつける。思わずバランスをくずしそうになる。

「日に日に運動量が増えるし、力も強くなって」
嬉しい悲鳴といった感じだ。

「じきに角が生えてくるな」

羊とヤギとどちらの形を見せるのか。

今日のデザートは、清潔な布にくるまれ木箱に納められたチーズだった。
例にもれず、クラウスがフロイラのために取り寄せた品だ。
今年生まれた若い牝ヤギの乳だけで作った新鮮なチーズに、ラム酒に漬けたラズベリーをまぶしたものだ。

フロイラの好物だが、日保ちせず、作れる量も限られているので、入手するのは簡単ではない。