冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

ミジビルはたちまち邸の人気者になった。

羊とヤギの合いの仔という物珍しさと、意外なほどの愛らしさは、来客さえほとんどない侯爵邸で歓迎された。

むろんフロイラも例外ではなく、日に何度も厩舎に様子を見にいっては、自らせっせと世話を焼いた。

ミジビルもフロイラになつき、ほどなく、フロイラとちょこちょこついて歩くミジビルが裏の庭を散歩する姿が見られるようになった。


———羊の方が家畜としての歴史が長いため、性質は温和でおとなしい。ほぼ草のみを食す。
対してヤギは活発で好奇心旺盛。高い場所を好み、草以外に木の実や芽なども好物。

さて、あの合いの仔はどちらに寄るのか。
羊とヤギの生物学的な差について、ざっと知識を仕入れたところで、クラウスは自分が連れてきて名付けた生き物に思いを馳せた。

最初はただの好奇心だった、はずだ。
なぜわざわざ連れ帰ってきたのか———自分でもはっきりと説明がつかない。