冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

厩舎の一角に、さっそく小さな新入りのための場所が設けられた。

馬にはいささかうるさい主のおかげで、馬体といい毛艶といい、見事な馬たちが鼻面を並べている。

穏やかにまぐさを食みながら、馬たちがときおり、にぎやかな声がする仕切りの方へ耳を動かしている。

陽のにおいがする香ばしいわらがたっぷり敷かれ、毛布にくるんだ湯たんぽが仕切りをやさしく温めている。

馬丁と農家出身のメイドの手を借りて、フロイラが合いの仔にミルクを与えていた。

「フロイラ様、哺乳瓶は横ではなく、縦にしてお持ちください」

「まあ、そうなの。首を上に向けたら苦しくないかしら」

「母親の乳を飲むときと同じようにするのが、飲みやすいんです」

「あ、そういえばそうね」

哺乳瓶に吸いつき、懸命にミルクを飲んでいる。

「食欲は生きる力ですからね。こいつは大丈夫ですよ」
馬丁が請け負う。

「ああ良かった」