冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

使用人たちと、ひとりのうら若い女性が主の帰りを出迎える。
クラウスの婚約者、フロイラ・ラインハート。柔らかな長い黒髪に、きらめく紫水晶の瞳をした可憐な令嬢。

今日のフロイラは、アイヴォリーのオーガンジー生地のドレスを身につけていた。
ハートカットの胸元、フロントに同じ生地のリボンが並ぶ。ぴったりとした身頃にふわりとふくらませた肩口、キュッと絞ったウエストから広がるスカートはたっぷりとしたボールガウンドレス調だ。

クラウスが見立てたフロイラのドレスは、いつもながら完璧に彼女を引き立てる、とリュカは評する。

おかえりなさいませ、としとやかにスカートのすそをつまんで腰を折ったフロイラは、すぐに “それ” に気づいた。
クラウスの腕の中、マントにくるまれて頭だけ出している。

あら、と目をみはって近づいてくる。
「まあ可愛い・・・仔ヤギですか?」

ぬいぐるみじみたその頭を、ちょんちょんとさわる。

半分当たりだ、とクラウスが答える。
「羊とヤギの合いの仔だと」

「そんなことがあるんですか?」
フロイラが目を丸くする。