冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

「羊が産んだんですが、うちは白い羊しか飼ってないのに、こいつは白と黒のまだらだし。蹄も顔の形もヤギに似ていて。黒ヤギの牡(オス)を一緒に放してるから、そいつの仔だとしか考えられなくて・・・」

たしかにな、とクラウスは、かがんでその生き物をとっくりと眺める。

顔だけ見ると、なるほどヤギのようだ。しかしふわふわとカールした背や腹の毛は羊を思わせる。
白い羊と黒いヤギから生まれたというだけあって、白と黒と、ところどころ灰色の毛まで混ざっている。

「性別は?」

「牡(オス)です」

「———あまり元気がないな」

顔をうつむかせ、小きざみに震えながら、うずくまっている。

「母親が面倒をみないもんで、今は女房がミルクを与えてますが、どうしたもんか・・・」
農夫は困った様子で、しきりと頭に手をやる。

「羊からは毛が、ヤギからは乳や肉がとれますが、こいつじゃ毛も肉も売りようがないし、芸ができなきゃサーカスでも買ってくれないだろうし。
やっぱり早いうちに間引くしかないのかと・・・」