「そういえば昔、お前に花の指輪やら冠やら作ったな」

「ええ、いただきました」

摘んだ花を編んでは、ルーシャ、もといクラウスはきれいな指輪や冠を作っては贈ってくれた。思えば、彼はあの頃からずいぶんと手先が器用だったのだ。

「いつか本物の宝飾品を贈ってやりたいと思ってた。あの頃はとうてい無理だったがな」

「いえそんな、十分です」
フロイラはふわりと笑う。あの花のアクセサリーはこの上なく美しかったのだから。

「まあ近いうちに指輪とティアラが必要になるわけだが」

クラウスの言葉に頬を染める。
そろそろ結婚式のことを、考えないといけない。

結婚式の具体的な時期などは未定だけれど、新婚旅行は湖畔地方に行くことが、なんとはなしに決まっている。