冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

どうかわたしとともにお越しくださいーーー

握られた手は、わずかに汗ばんでいる。彼の熱意がにじんでいるように。


「ーーー小公爵様・・・」
手を離してもらえないかと、そろそろと引いてみるけれど、その気配はない。

「小公爵様、大変もったいないお話ですけど、わたしにはお受けすることができないので・・・」

「なぜです? 侯爵殿のことなら心配はありません」

心外と言いたげに、リアネルが目を見張る。彼の瞳は晴れわたった夏の空のように、青い。

「クラウ・・・侯爵様の事ではなく・・・」

なんと言ったものだろう。改めて自分の心にこの邸を出たいかと問えば、答えは「否」だ。
ルーシャのことはもちろんある。あの庭から離れたくないという思いも強い。

でも、それ以上にーーー

「なぜです、決してあなたに辛い思いや苦労はさせません。あなたの望みでしたら、あたう限り叶えて差し上げましょう。侯爵殿には及びもつかないほどに」