冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

「侯爵殿はどういった用向きで?」
クリームを落としたお茶をすすって、リアネルが問いを投げてくる。

「お仕事のことだそうです。わたしは詳しいことは・・・」

なるほど、と大仰にうなずき、「わたしならばこんなに可愛い方に寂しい思いをさせるような真似はいたしませんがね」とこちらを覗きこむように語りかける。

なんだかいつも、この人の話すのを聞いているとむずむずと座りが悪くなってくるのだ。
一つ一つはなにも間違っていない。きちんと合わさっているように見えるけれど、離れてながめるとかけ違ってしまっているボタンのような。

なぜだかどこか薄い彼の言葉。台本を諳んじている役者のように。

「ーーー小公爵様、今日はなぜこちらへ?」

「もちろんあなたに会いたかったからです。ここへずっと閉じこめられている姫君に」

閉じこめられてーーーたしか以前にも彼に言われたことだった。
自分は本当にクラウスに閉じこめられているのだろうか・・・

「ずっとあなたの身を案じ、あなたにお会いしたいと願っていました」
熱っぽくリアネルが言葉を重ねる。