冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

次の朝、フロイラはクリーム色のたっぷりしたモスリン地にレースがあしらわれたドレスを選んだ。
格別豪奢ではないけれど、クラウスが生地から選び仕立てさせたものだ。

もう明日にはお帰りになるわ。明日はどの衣装でお迎えしようかしら。
そう思うと、理屈ではなく胸がわきたって、フロイラは姿見の中の自分に微笑んでみせることができた。


邸で留守を守る使用人とフロイラが、困惑せざるをえない事態が起こったのは、その日の午後だった。

リアネル・バートフィールド小公爵がフロイラ様にお目通りをと、執事代のジーヴスが差し出したトレイに乗っているのは、まぎれもなく公爵家の紋章とリアネル・バートフィールドの名が浮き出し文字で刷られたカード(名刺)だった。

「わたしに・・・? どうしましょう・・」

「お付きの方を引き連れて・・・その方達はキャリッジポーチのほうで待機させていますが」

ジーヴスと互いの困惑した顔を見合わせるばかりだ。