冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

ふっ、とくちびるが柔らかく熱のあるものでおおわれた。
くちづけられたのだと気づく。

「〜〜〜・・・」
驚いて思わず身体を離してしまう。

「ハハッ」

なんとクラウスが破顔している。いたずらがうまくいった子どものような表情だ。

「も、もう・・」
口元をおおってもごもご言いはするけれど、そんな稚気のある顔を見てしまったら、傷つくことも怒ることもできない。

いつのまにか、どうしてこんなにも・・・・

彼と手をつないで裏庭を歩く。まるであの夏の日のように。

この人に心惹かれている。

ーーーフロー、あちらへ行きましょうよ

少女の声が聞こえた気がした。