冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

「いい天気だな、眠くなった」
薄目を開けて、そうつぶやく。

「は、はい・・・」

「寝かせろ」

えっ!? え・・ここで・・・

フロイラの戸惑いをよそに、クラウスは目を閉じた。
ほどなくして、寝息が聞こえてくる。

眠ってしまったわ。どうしましょう。

なんせ膝にクラウスの頭が乗ってるから、動けない。

もうクラウス様ったら・・・本でも持ってくればよかった。

動くことはできないし、クラウスの寝顔を眺めるくらいしかすることがない。
初めて見る、彼の寝顔。くしゃっと乱れた、目になじんだ複色の髪。
どこか無防備で、いつもより幼くさえ見える。

かわいい・・・なんて思ったことを知られたら、お怒りになるかしら。

ふっとくちびるが笑みにほどける。
目を覚ましてほしいような、ほしくないような・・・思わず眠りをさそわれるほど、クラウスもこの庭が嫌いでないと感じられると、やはり嬉しい。

彼の重みを膝に感じながら、フロイラもそっと目を閉じた。