冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

「わたしも・・・リュカ様のようにお仕えできるといいのですけど」
小声でつぶやく。

その相手は、リュカの主人とは別のひとだ。

「忙しいのに、お引き留めしてしまってごめんなさい」

「いえ・・・」

スカートの裾をひるがえして、歩み去ってゆくフロイラの背中を、リュカが眼鏡の奥の深青の瞳でじっと見つめる。

「鈍感なのもたいがいにしていただきたいものですね」

ひっそり漏らされた声は、むろん誰の耳にも届くことはなかった。