冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~



ーーー秘密の隠れ場所を教えてあげるわ

もったいぶった、ちょっと得意そうな少女の声。

「かくればしょ?」
幼い自分が返す。

「わたしについてらっしゃい」

ルーシャがフロイラの手を引いて歩きだす。

レンガ塀と木の幹の間に、子どもの体がやっと入るくらいの隙間があった。

「葉っぱが茂ってわたしたちを隠してくれるでしょう。こちらからは向こうが見えるけど、でも向こうからわたしたちの姿は見えないの」

「わぁ、すごい!」

「ここは、わたしたちだけの秘密よ。誰にも言っちゃだめ」

ルーシャの言葉に、フロイラは誰にも言わないと神妙に約束した。

「わたしね、いつか夜明け前の庭を探検したいの」
ルーシャは打ち明け話をするように言った。

「よあけまえ?」
きょとんと聞き返す。