「だからわたしはあなたが心配でならないのです、ミス・フロイラ」
「わたし・・?」
動揺に、言葉はほとんど出てこない。リアネルは何を言っているのだろう。
「このような血なまぐさい噂が付きまとう家に、閉じ込められるように暮らしているあなたが」
近づいてくると、フロイラの手をとった。話の内容に呆然としているフロイラは、なすがままだ。
「侯爵殿はまぎれもなく、明晰な判断力と揺るぎない実行力を持ち合わせた方だ。一方で、目的のためならば情を切り理に徹することがおできになる」
彼に言われずとも知っている。
「正直に申し上げましょう、ミス・フロイラ。わたしはあなたをここから連れ出し、新しい世界を見せて差し上げたい。一目見たときから、あなたに心奪われているのです」
芝居の台詞のようだと、どこかで感じる。きっと世の女性はリアネルにこんなふうにささやかれたら、頬を赤らめるのだろうけれど。
正直、それどころではなかった。
「わたし・・?」
動揺に、言葉はほとんど出てこない。リアネルは何を言っているのだろう。
「このような血なまぐさい噂が付きまとう家に、閉じ込められるように暮らしているあなたが」
近づいてくると、フロイラの手をとった。話の内容に呆然としているフロイラは、なすがままだ。
「侯爵殿はまぎれもなく、明晰な判断力と揺るぎない実行力を持ち合わせた方だ。一方で、目的のためならば情を切り理に徹することがおできになる」
彼に言われずとも知っている。
「正直に申し上げましょう、ミス・フロイラ。わたしはあなたをここから連れ出し、新しい世界を見せて差し上げたい。一目見たときから、あなたに心奪われているのです」
芝居の台詞のようだと、どこかで感じる。きっと世の女性はリアネルにこんなふうにささやかれたら、頬を赤らめるのだろうけれど。
正直、それどころではなかった。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)