「その女の子は、ひょっとしてルシアナという名ではありませんか?」
勢いこんで尋ねるフロイラに、リアネルは驚いたようにその青い目を見張った。
「残念ながらそこまでは。わたしもお会いしたことがないもので。昔のことですし。伝え聞くところによると、プラチナブロンドの髪をした、たいそう美しい令嬢だったという話ですが」
ルーシャ!
心の中で叫ぶ。
奥方と令嬢の症状を憂いた侯爵は、二人を転地療養に向かわせた。
しかし侯爵夫人としての務めを果たせていないと、親族からの非難はますます激しくなり、夫人の症状は一向に回復しなかった。
それでも奥方を深く愛する侯爵は、しまいに世間や親族の声が一切届かない外国へ、二人を逃がすように渡らせた。
そんな献身も虚しく、奥方は外国の地で死亡。
親族一同が小躍りしたことはいうまでもない。体の弱い女児では爵位の継承にふさわしくない。
親族からしかるべき男児が選ばれることになると、目論んだのだ。
勢いこんで尋ねるフロイラに、リアネルは驚いたようにその青い目を見張った。
「残念ながらそこまでは。わたしもお会いしたことがないもので。昔のことですし。伝え聞くところによると、プラチナブロンドの髪をした、たいそう美しい令嬢だったという話ですが」
ルーシャ!
心の中で叫ぶ。
奥方と令嬢の症状を憂いた侯爵は、二人を転地療養に向かわせた。
しかし侯爵夫人としての務めを果たせていないと、親族からの非難はますます激しくなり、夫人の症状は一向に回復しなかった。
それでも奥方を深く愛する侯爵は、しまいに世間や親族の声が一切届かない外国へ、二人を逃がすように渡らせた。
そんな献身も虚しく、奥方は外国の地で死亡。
親族一同が小躍りしたことはいうまでもない。体の弱い女児では爵位の継承にふさわしくない。
親族からしかるべき男児が選ばれることになると、目論んだのだ。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)