冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

先代当主が結婚相手に選んだ相手は、とある子爵家の縁戚にあたる女性だった。

そもそもは、子爵が自分の娘とヴィンターハルター侯爵を近づけようとしてのことだった。
ティーパーティーや夜会や舞踏会を催しては、侯爵を招いた。

娘の引き立て役にと、同じ年頃の娘を何人か囲ませていたのだが、皮肉なことに侯爵が目を留めたのは、その娘のうちの一人だった。
子爵家の縁戚とはいえ、財や地位があるわけでもない中産階級の娘。

だが二人は恋に落ち、双方の親族の猛反対を押し切って結婚した。
侯爵夫人となった女性に対して、ヴィンターハルター一族からの、貴賎結婚、身分違いという陰口は止むことはなかった。

彼女は次第に人前に姿を見せなくなり、邸に引きこもりがちになっていった。

数年後に女児が産まれたものの、その子どもも同様、体が弱く人の多い場所に出すと病気になると、屋敷の奥深くに仕舞いこまれるように育てられた。