冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~

リアネルの言うことが事実だとして。
その男性たちは、ヴィンターハルター家となんとか繋がりを持ちたいのだろう。
自分は顔つなぎなどできる立場ではないのに。

「わたしは、ただこちらに厄介になっているだけの者なので・・・」

「わたしはこの邸で侯爵殿の籠の鳥になっているあなたが、心配でならないのですよ、ミス・フロイラ」

クラウスの籠の鳥・・・? 自分が・・・ーー


「この家には、いろいろと不穏な噂も・・・いや、失礼、」
リアネルは顎をかたむける。

「どういう意味でしょうか? 教えてください」

人の噂ですがねと、リアネルはもったいをつけるように、指を折って顎に押し当てる。

「現当主、クラウス・ヴィンターハルター侯爵は、この家を乗っ取った、と」

「乗っ取った!?」
穏やかでない言葉だ。

「先代の当主には、御子が二人いたんです。男の子と、女の子と」
リアネルは語る。