夢でも見たんだろう。

フロイラの思い出話を、クラウスはにべもなく否定した。

「寂しい子どもが空想の友達をつくるのは、よくあることだ」

「空想なんかじゃありません。本当にいたんです」
フロイラは言い募る。

「お前以外に、そいつと会った者はいないんだろう」

「母も周りの人たちも、そこがヴィンターハルター家のお屋敷だということは知っていました」

「だからお前はその幽霊屋敷の庭に入って、一人で遊んでいたわけだ。ひょっとしたら相手は幽霊かもな」

ルーシャが幽霊。そんな馬鹿な。
たしかに母や他の人がいるときに、ルーシャに会ったことはないけれど・・・

「ボンボンをもらって帰りました。母も手伝いの人もびっくりして」
思い出して口にする。

「おおかたお前が作った泥だんごだろ。大人たちは話を合わせてくれたんだ」

言って茶を一口すする。