みっともなくなんか、ないわ。
ルーシャはきっぱりと言った。

それは慰めだ。

「フロー、あなたはとても美しいわ。ただ自分でそれに気づいていないだけなのよ」

「・・お姉さま・・」
目をぱちくりさせてルーシャを見る。

ルーシャがフロイラの頬に手をそえる。

ふわりとやわらかく、ルーシャはフロイラのくちびるにキスをした。

それはフロイラが今まで父母からしてもらったキスとは、もちろん違った。
父や母が自分を慈しんでくれるのは、ごく自然なことだ。二人の娘なのだから。

自分とルーシャは、たまたま知り合っただけの間柄だ。
それなのに、ルーシャは自分にキスを贈ってくれた。それは、深く大きな愛情の証のように思われて。

惨めな気持ちはどこへやら。ひどくくすぐったく温かい気持ちに満たされたのを憶えている。