少年たちは、自分たちで作った弓矢や木の皮を編んだ鞭を誇らしげに手にして、楽しそうに遊んでいる。

「作り方さえ分かれば、きっとわたしたちでも作れるんでしょうけど」

教えてくれるような人は、ルーシャのそばにはいなかった。
普段話をするのは、母親とメイドたちだけだという。

ならば、とフロイラは勇気を振り絞った。
療養所にいる男の子たちに声をかけて、弓矢の作り方を聞いてみたのだ。

フロイラの挑戦への返礼は、無視と嘲笑だった。

「お前なんかには無理だ」
そんな台詞を浴びせて、彼らは駆けていってしまった。


「ごめんなさい。聞いてみたけど、誰も教えてくれなかったの」

ブランコに並んで腰かけて、フロイラは目に涙をためてルーシャに言った。

「フロー、あなたのせいじゃないわ。気にしなくていいのよ」
ルーシャが慰めてくれる。

「きっとお姉さまなら、教えてくれるわ。あたしがみっともない子だから・・・」

地味な黒い髪をした小さな女の子に、どもりがちに声をかけられても、彼らからしたらうっとうしいだけだろう。

ルーシャのような美しく華やかな少女だったら、勇んで教えてくれそうだ。