その夏、二人が庭で、どうしても手にいれることができなかったものがあった。
「やっぱり届かないわ」
木の枝を手にしたルーシャが無念の声を出す。
二人でリンゴの木の下で、樹上を見上げている。枝には陽光をたっぷり吸いこんだ赤い実がつやつやと光っている。
木に登ることはできず、手を伸ばしたり飛び上がっても届かない。手ごろな枝を探して、伸ばしてみたものの、実はそのさらに高いところにあった。
「リンゴが欲しいって言ったら、メイドはアップルパイを焼いてくれるの。わたしが欲しいのは、木になってるリンゴの実なのに。虫が食ってるとか、お腹を壊すとか、そんなことばかり言われるの」
枝を放って、ルーシャは恨めしげにリンゴを見上げる。
フロイラとてなんとかあの赤い実を手に入れたかったけれど、どうすることもできなかった。
「男の子みたいに弓矢が作れればいいのに。そうすれば実が落とせるわ」
ルーシャがため息をつく。
「やっぱり届かないわ」
木の枝を手にしたルーシャが無念の声を出す。
二人でリンゴの木の下で、樹上を見上げている。枝には陽光をたっぷり吸いこんだ赤い実がつやつやと光っている。
木に登ることはできず、手を伸ばしたり飛び上がっても届かない。手ごろな枝を探して、伸ばしてみたものの、実はそのさらに高いところにあった。
「リンゴが欲しいって言ったら、メイドはアップルパイを焼いてくれるの。わたしが欲しいのは、木になってるリンゴの実なのに。虫が食ってるとか、お腹を壊すとか、そんなことばかり言われるの」
枝を放って、ルーシャは恨めしげにリンゴを見上げる。
フロイラとてなんとかあの赤い実を手に入れたかったけれど、どうすることもできなかった。
「男の子みたいに弓矢が作れればいいのに。そうすれば実が落とせるわ」
ルーシャがため息をつく。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)