【完】蜂蜜色のヒーロー。



お母さんとの話を終えた私は、お風呂から出て、自室でクローゼットを開けて、ぼうっと明日のことを考えていると。


わしゃわしゃとタオルで頭を拭く私の部屋の扉が、ノックもなしに開いて、さっきのお母さんとの話を聞いていたお父さんが入ってきた。



「……なんの用」



───長谷川くんと付き合っていなければ、お父さんと喧嘩をしてぎくしゃくすることもなかった。



2年前、長谷川くんと別れたあの日に、お父さんに怒鳴りつけられて、それまで反論なんてしたことのなかった私が、たったひと言、


『うるさい!!』


そう言って、言葉を制したあの日から、お父さんは半ば他人のようになってしまっていた。