【完】蜂蜜色のヒーロー。



私にはなにも、さっぱりわからないんだ───自分のことなのに、……いや。自分のことだから、こそ。


誰かのことを理解する前に、自分のことがわからないなんて、バカバカしいかもしれない。



だけど、御津くんのことをどう思っているのかすらわからない今の状況が、ぐっと私の肩にのしかかって、重たい。


ああ、なんでだろう。



重くて、考えなければならないことが増えて面倒なのに、こんなにも胸がほくほくとあたたかいなんて。


御津くんのことを考えると、胸がほんわりとあたたかくなるんだ───。



「……じゃあ、ありがたくもらっておきます」


「うん。あ、明日は葵ちゃんと買い物に行くのよね? 葵ちゃんはいつ来るの?」


「えっと……お昼過ぎに来るみたい」