【完】蜂蜜色のヒーロー。



……恐らくお母さんは、私に“恋愛”をする気になっていることを、声にこそ出さないけど、心から喜んでくれてる。


長谷川くんが、どれだけ酷いことをしたのか、お母さんも、当たり前だけどお父さんも知らない。



だけど、あれ以来私はあんまりひとを信頼しなくなったから、なにも知らなくても、訊かなくても。


心に大きな傷を残すようなことがあったって、理解してくれているんだろうから。



やっぱり、高校という新しい環境に行くということが、私ばかりでなく、お母さんも心配だったんだろう。



……自分でも、よくわからないんだ。


なんで、御津くんや生真くんに早くも心を開いているのか。


恋愛はしたくない、と思っているくせに、どうしてはっきり告白を拒否できないのか。