呆気にとられる私たちに、彼はしばらく手を止めて、それから隣にいた茶髪の男の子に、声をかけた。 「シャツ、持ってたよな」 「持ってるよー。ボロいのから着替えろって、おかんに渡されたやつ」 「貸して」 なんで、と聞くことなく、茶髪の彼はリュックから真新しい袋に入ったシャツを取り出して渡すと、蜂蜜色のほうが 「待ってて」 とひと言私に釘を刺すと、目の前のトイレに入っていった。 よく見れば、茶髪の彼のシャツは、発言どおりボロボロだった。お下がりなのかもしれない。