聞いてるこっちが照れるようなことを言ってるくせに、緊張してないなんて、御津くんはただ者じゃない。 「み、御津くん……」 「俺は、妃莉にそんなこと言わねぇよ。つか、思わねぇし」 「………」 「俺はなんにもできねぇし、辛いときに妃莉を守れるヒーローでもねぇよ」 いつもよりも優しく聞こえる声に、私はそっと目を閉じた。 心地がいいし、なんとなく包み込まれているような感覚になるから、ほっと胸を撫で下ろした。