震える手が、視界の端にちらついたけど、気付かないふりをした。 強くなりたい───ただ、その一心だった。 「なんだよ、それ」 「言われたんだ、中学のとき付き合ってたひとに。お前は価値ないって、時間の無駄したって。だから……」 小刻みに震えていたそれに気づいた御津くんが、ぎゅうっと強く握って、距離を詰めてきた。 私たちの距離は、ゼロだった。 「私と付き合っても、時間の無駄するだけなんだよ。御津くんには、楽しい高校生活を送ってほし───っ」