結局、そんなことしか言えなくて、目を伏せると、どんっと逆方向から歩いてきたひとにぶつかった。 その拍子に、ひとの流れに呑み込まれそうになった私の手を、御津くんはなに食わぬ顔で握ってくれた。 「知ってるよ。話したかったから」 「そ、そうなの?」 「うん」 前を歩くふたりとは、少し距離ができてしまったけど、そんなことは気にせずに、淡々と話す御津くん。 私のペースに合わせて歩いてくれてる、って、わかった。