パタパタと急いでお店をあとにした知来は、窓越しにひらひらっと手を振ってくれた。


満面の笑みはものすごくきれいだった。



「……っ!」



その途端、チクッと痛みが走ってびっくりした。顔を上げた路惟くんが、悪戯っ子みたいにべっと舌を出した。


な、なに……?



「……妃莉は俺のだよ。それを覚えといて」


「わ、わかってるよ……なにしたの?」


「家に帰ればわかるよ」



くすっと笑った路惟くんに、私は見とれてしまうけど家に帰って、鏡の前で髪を結ったときに、絶句した。