【完】蜂蜜色のヒーロー。



……ほら。


こうやって、家族との時間よりも私を優先してくれる優しさが路惟くんにはあるでしょう。



ねえ、本当は聞こえてるよ。


後ろのほうで両親らしきひとが「もう行くよー!」って言ってるのも、姉妹のどちらかが「彼女と電話してるから!」と守ってくれてるのも。



なのに、私と話してていいの……?


今はその優しさに素直に、バレない程度にもたれかかってていいかな?



『……妃莉の夕食なんだった?』


「あ……今日はオムライスだった」


『へー、いいな。俺も久しぶりに食べてーな』



……なんでだろうね、路惟くん。


私今、理由もわからず泣きそうになってる。



必死で涙を堪えて、さっきのように声が震えてると指摘されないように、意識してたけど、路惟くんにはわかってたんでしょ?