【完】蜂蜜色のヒーロー。






ごはんが終わったあとに、電話があった。私のメッセージを読んでくれた路惟くんからの電話だった。



『もしもし、妃莉? どうした、妃莉から声が聞きたいなんて。なんかあったんだろ』


「……あは、なにもないよ」


『嘘つくなよ。声が震えてる』



上手く話せてる自信なんて、ひと欠片もなかったけど、電話越しのはずなのにそれが路惟くんに伝わっていて、嬉しかった。


でも……ごめんね、今回のことは言えないよ。



「やだなぁ、なにもないって」


『……言いたくないならそれでいいけど、ひとりで溜め込むなよ』


「どうしても、なにもないとは思えないんだね」


『思えねーよ』



ばっさり斬られた。