「……へーえ、御津路惟くんが、この可愛い妃莉ちゃんの彼氏なんだー?」


「だから、他当たって。俺のだから」


「ねえ御津路惟くん。俺ってね、フリーの子よりも誰かの女って子がタイプなんだよねぇ」



のらりくらりと最低なことを言う一ノ瀬先輩は、路惟くんの後ろにいる私を見つめて、ぱちん、とウィンクした。


それこそ、星でも飛びそうなウィンクだった。



「たくさんいるだろ、誰かの女なんて」


「やだなぁ、妃莉ちゃんの顔がタイプなんじゃん?」


「……バッカじゃねーの」





先輩の顔のタイプって変わってるんだなぁ……。私、タイプって言ってもらえるような可愛い顔はしてないんだけどな。


その口説き文句で、いったい何人のひとを落としてきたんだろう。