……そう、だよね。
御津くんが私なんかを本気で好きになるわけ、ないよね。なのになんで、それを真面目に捉えちゃったんだろう。
バカみたいだ、私。
「妃莉? ……あ、おい!」
無意識のうちに、その場から走り去っていた。やだなぁ、私ってば。
御津くんの幸せそうな顔を見たら、それでよかったって思えるはずなのに、どうしてこんなに、黒い想いが胸に残るんだろう。
御津くんの好きなひとが、あわよくば私であればいいなぁ、なんて、そんなことあるわけないのにね。
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