さらりと恥ずかしいことを言った御津くんは、私から離れて小さくあくびをした。


「昨日、ちゃんと寝た?」


「生真が泊まりに来て、そのままオールした」


「あはは、生真くん、御津くんのこと大好きだもんね」



冗談じゃねぇつーの、と立ち上がった御津くんは、本当に勘弁してほしそうで、漏れたあくびを噛み殺した。



なんでも、私とのデートでしちゃいけないことを、生真くんがあれよこれよと伝授していったらしい。



「そん中に、映画で寝るのもだめ、ってのも入ってた」


「あは、寝ちゃったね」


「だから、寝たのはふたりだけの秘密な」



いい? と空になったジュースの入れ物を、御津くんに見惚れる店員に手渡して、外へ出た。



うん、と頷いた私に、御津くんは「よかった」と満足げな顔をして───次の瞬間、楽しかった雰囲気をぶち壊すような声が聞こえた。