「……!」
ふーっと寝息が首にかかって、結局そのまま約2時間、その態勢で映画を観るはめになって。
集中できなかったのは、言うまでもない───。
*
映画が終わって、周りのお客さんがぞろぞろとまばらに帰っていく中、隣で爆睡している御津くんの太ももを叩いた。
「御津くん、起きて。映画終わったよ」
「ん……? あ、ほんとだ」
目覚めはいいほうらしく、ぱちっと目を覚ました御津くんは、暗くなったスクリーンを見て、息を吐いた。
「マジか。妃莉の匂いでいい夢見れた」
「……!」
「映画はハッピーエンドだったの」
「あ……う、うん」

