「……!」


ふーっと寝息が首にかかって、結局そのまま約2時間、その態勢で映画を観るはめになって。


集中できなかったのは、言うまでもない───。






映画が終わって、周りのお客さんがぞろぞろとまばらに帰っていく中、隣で爆睡している御津くんの太ももを叩いた。



「御津くん、起きて。映画終わったよ」


「ん……? あ、ほんとだ」



目覚めはいいほうらしく、ぱちっと目を覚ました御津くんは、暗くなったスクリーンを見て、息を吐いた。



「マジか。妃莉の匂いでいい夢見れた」


「……!」


「映画はハッピーエンドだったの」


「あ……う、うん」