相談にのってもらいたいわけじゃなくて、ただ『妃莉』って呼んでほしかった。それだけで、いつもなぜか救われるんだよ。
【電話かけるけど、タイミング悪かったら、拒否って】
珍しいひとだなあと、どこかのんびりと笑った。
かけていい? とか、今って電話しても大丈夫? とかじゃなくて、だめならキャンセルして、なんて。
御津くんらしいけど。
そのあと、当たり前に電話がかかってきて、何度か咳払いをしてから、それに出た。
「は、はい……っ、もしもし…!」
『……なんか、ちょっと安心した』
「……? なにかあったの?」
『なにかあったのは、妃莉のほうなんじゃねぇの』

