「……お母さんの優しさに、いつまで甘えれば気が済むんだ」
「………」
ぱたん、とドアが閉まって、ふたりきりの部屋に、しーんと沈黙が訪れた。
それは、御津くんといるときのように、居心地はよくなくて、むしろ最悪なそれだった。
「お母さんは優しいから、長谷川くんのことは訊かないだけだって、言っただろう」
「なにそれ。久々に話に来たと思ったら、説教しに来たわけ?」
「違う、そうじゃなくて───」
「出てってよ。言ったじゃん、気持ちの整理がついたら話すって!」
ガンッ、と壁を叩くと、ガタイのいいお父さんが目を見開いて、驚いていた。
「余計なお世話だよ」
「……そうか、悪いな」

